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この病気に注意しましょう

気管支喘息

400万人の方が喘息を患っていると推定されています。
近年、喘息にかかる人の数が非常に増えています。

喘息というと、小児喘息をイメージしがちですが、
大気汚染、タバコ、香水、心理的ストレス、
食品添加物、ペット、住宅の塗装といったものまでが
喘息発症の一因となっているため、
特に40歳以降で初めて発症するケースが増えており、
そのまま放置するとどんどん悪くなっていきます。

喘息は今後も増加していくものと予想されています。

気管支喘息の正体

私たちは空気中の酸素を取り込み、不要となった二酸化炭素を外に排出しています。
この呼吸という一連の動作を行う際に、空気が通る道のことを気道と呼んでいます。
この気道の『慢性的』な炎症により、気道が細くなることが原因です。
つまり、喘息は発作のときだけ気道に変化が起こるのではなく、常に気道に炎症が起こっているのです。

喘息の治療

以前は、喘息発作の時にだけ、その場しのぎで、
発作を止める治療が主体でした。
現在の喘息の治療は、慢性に存在する炎症を治療して、
発作を起こさないよう
『予防』に重点を置くようになりました。

喘息は軽症であっても、10年から30年の長きにわたって
軽い発作を繰り返しているうちに、気道組織が厚く変化し、
元に戻らなくなり(気道のリモデリングと言います。)
重症化していきます。

ですから病初期より積極的に炎症を抑える治療を行い、
治療を継続していくことが大切です。

喘息の症状、喘息死

気道狭窄がおこり、突然激しい咳、喘鳴、呼吸困難といった症状が出現します。
その症状は軽いものから死に至るものまであります。

わが国では年間7000人の方が喘息で亡くなっています。
重篤な喘息発作では、窒息状態に陥り、
死亡の約3割は発作発生から1~3時間という短期間で亡くなっています。

普段治療を受けていない人、薬を正しく使用していない人が大発作を起こすことが
後を絶ちません。
喘息は油断できない病気です。

気管支喘息で注意すること

市販の風邪薬、頭痛薬、痛み止めの貼り薬に含まれている、アスピリンなどの解熱鎮痛剤が
成人喘息の約10%に発作を起こすといわれています。
すなわち、アスピリン喘息です。

気管支喘息の方は、風邪を引いたときには、自分の判断で市販薬を使用せず、
医師の診断を受けてください。

  • 喘息患者さんにとって、タバコは命取りです。
    タバコにはニコチンを含め200種類以上の有害物質が
    含まれています。
    これらの物質は長期に渡って気道の炎症を促進し、
    喘息発作の引き金となります。

    また喫煙により治療薬の効果も悪くなります。
    禁煙ももちろんですが、受動喫煙に気を付け、
    公共の場でもタバコのある所は避けなければいけません。

  • 喘息患者さんはアルコールを控えたほうが無難です。
    アルコールの分解産物であるアセトアルデヒドは
    気道を収縮させ、発作を誘発します。
    一般に喘息の6割の人が
    アルコールで症状の悪化を訴えられます。
    お酒に強い人でも、アルコールは控えたほうがいいでしょう。

気管支喘息の治療薬

喘息の治療薬は、

  • 長期にわたり発作を予防する薬
    (コントローラー、長期管理薬)
  • 発作が起こったときに、発作を鎮めるための薬
    (リリーバー、発作治療薬)

の2種類があります。

コントローラーで発作を起こりにくい状況を維持しながら、
疲労、ストレス、感染などで発作が起こったときは即効性のあるリリーバーを使用します。

コントローラーの主役は吸入ステロイドです。
ステロイドというと不安になられる方もあると思いますが、
吸入タイプのステロイドは気道に限局して作用するため全身的な副作用の心配はありません。
口腔内カンジタ、のどの痛みなどの副作用が見られますが、吸入後にうがいをすれば予防できます。

リリーバーは短時間型のβ2刺激薬を使用します。

このほか

  • 長期作用型β2刺激薬
  • テオフィリン製剤
  • ロイコトリエン拮抗薬などの抗アレルギー剤

を併用して治療を進めていきます。

喘息の治療の目標は発作を起こさないことです。
できるだけリリーバーを使用せず、コントローラーによる治療をしっかり行うことが大切です。

まとめ

気管支喘息は気道の『慢性的』な炎症が原因です。
喘息発作が落ち着いている時でも、吸入ステロイドで発作を予防することが大切です。
発作を予防し健やかな日々を送りましょう。


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