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糖尿病

糖尿病とは?

現在、成人の3人に1人は糖尿病、または糖尿病予備軍とされ
患者さんが多いことから国民病といわれます。
厚生省の調査によると
糖尿病の人は約890万人、糖尿病予備軍の人は約1320万人にも及びます。

人間は様々な活動を行うのにエネルギーを必要とします。
主なエネルギーは炭水化物(糖質)と脂質です。
エネルギー源で最も燃えやすくエネルギーになりやすいのは
ごはんやパンに含まれる炭水化物(糖質)です。

炭水化物は小腸で分解されブドウ糖に変わりエネルギーとなります。
血液と一緒に全身をめぐっているブドウ糖が『血糖』です。
糖尿病はこの血糖値が高くなることで起こる病気です。

健康な人では血糖値が一定の範囲の濃度に保たれますが
糖尿病の方は血糖値の高い状態が続きます。

人間の体は血糖値を一定に保つための調節機構を持っています。
このシステムはたくさんのホルモンで調節されています。

血糖値を上げるホルモンは
グルカゴン、アドレナリン、副腎皮質ホルモンなど数種類あります。
血液中にエネルギー源であるブドウ糖がなくなることは
生命維持には危機的状況ですので、体はいろいろな機能を使って
ブドウ糖がなくならないように予防しています。

一方、血糖値を直接下げるホルモンは
すい臓から分泌されるインスリンただ1つしかありません。

このインスリン分泌が少なくなり、インスリンの効きが悪くなると(インスリン抵抗性)
血液はブドウ糖の多い状態となり、血糖値が上がり糖尿病となります。

糖尿病の原因は?

糖尿病は発症した原因により4つに分類されます。
1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、その他の糖尿病です。
日本人に多いのは2型糖尿病です。

1型糖尿病
ウイルス感染などをきっかけに
インスリンを作っているすい臓に炎症、破壊が起こります。
このタイプの糖尿病は、体内でほとんどインスリンが作られなくなり
インスリン注射が絶対に必要になります。
2型糖尿病
運動不足、食べ過ぎ、それに伴う肥満など生活習慣が原因となります。
また日本人はすい臓のインスリン分泌能力が低く
遺伝的に糖尿病になりやすいことが知られています。
このように生活習慣、遺伝が関与して発病する糖尿病を2型糖尿病といいます。
日本人の約90%がこの2型糖尿病です。
妊娠糖尿病
妊娠中に糖尿病を発病します。
妊娠中に必要なホルモンは、インスリンの働きを弱める作用があるからです。
ほとんどの方は出産後改善します。
その他の糖尿病
すい臓病、肝臓病、ステロイドなどの薬によって2次的に糖尿病となります。

糖尿病の症状は?

糖尿病にはとても厄介な特徴があります。
それは本人が気づかないうちに進行することです。
血糖値が高くても、最初のうちは、症状がありません。
このため、放置している方が多いのです。
糖尿病と気付かずに治療を受けていない人が約4割もいます。

症状が出てきたときには、かなり糖尿病が進行していることになります。
糖尿病が進行してくると
異常にのどが渇く
尿が多量になる
回数が増える
体がだるく疲れやすい
食べてもやせてくる
などの症状が出てきます。

異常な高血糖が続くと、おう吐、腹痛、また意識を失うこともあります。

日本糖尿病学会のガイドラインでも、糖尿病は悪くなってから対応するのではなく
できるだけ悪くしない、つまり予防という考え方が強くなっています。

症状が出てくる前に糖尿病を発見するためには
定期的な採血、検尿検査が欠かせません。

当院では糖尿病の採血を院内で行っています。
約30分で検査結果が分かります

糖尿病が心配な方
検診で糖尿病を指摘された方
また糖尿病加療が必要な方は
一度ご相談ください。

糖尿病を放置すると?

糖尿病を治療しなければならない理由は、糖尿病の合併症が問題なのです。
世界中のどこかで、8秒に1人糖尿病に関係のある病気で亡くなっています。

高血糖の状態が続くと
血管がボロボロに傷み、眼、神経、腎臓の機能が低下していきます。

糖尿病の3大合併症は、

  1. 末梢神経の異常(糖尿病神経障害)
  2. 眼の異常(糖尿病網膜症)
  3. 腎機能の低下(糖尿病腎症)

の3つです。

糖尿病が発病して放置すると
約5年で手足のしびれが出現し(糖尿病神経障害)
眼が見えにくくなり(糖尿病網膜症)
約10年で腎臓に障害が出て(糖尿病腎症)
人工透析が必要になる人もいます。
現在、眼の失明、人工透析の原因第一位は糖尿病なのです。

その他に、糖尿病は動脈硬化を引き起こします。
動脈硬化とは、血管の壁がもろく、破れやすくなること
コレステロールなどがたまることで血管が細くなる状態のことを言います。

最近の研究で、動脈硬化は糖尿病のごく初期から進行することがわかっています。
脳の血管が詰まる脳梗塞、心臓の血管が詰まる心筋梗塞など
命にかかわる病気の引き金になるのです。
具体的には
心臓、脳血管病の危険性が、健康な人に比べて2~3倍にもなります。
糖尿病と高血圧、両方を持っている方は、6~7倍にもなります。

日本人の死因の第1位は癌ですが
2位と3位は心疾患、脳血管疾患が占めています。
動脈硬化が、人の命を左右する、大変重要な病気であることが分かります。

糖尿病の治療

糖尿病を発症すると、残念ながら治ることはありません。
これから、ずっと、つき合っていく事になります。
かかりつけ医との付き合いも長期間になります。

糖尿病の治療の基本は生活習慣の改善です。
生活習慣を改善することで
血糖値はもちろん、血圧やコレステロール、肥満も改善します。
生活習慣の改善とは、食事療法と運動療法です。
自分の生活習慣と体重を振り返り、実現可能な目標を立てましょう。

米国のブロイラーは、7つの健康習慣を選び
それを実施している人ほど病気にかかりにくく、長寿であることを発表しました。

7つの健康習慣

  1. 適正体重の維持
  2. 定期的な運動
  3. 適正な睡眠時間
  4. 深酒をしない
  5. 喫煙をしない
  6. 間食をしない
  7. 毎日朝食をとる

適正体重の指標となるのが、BMI(ボディマス インデックス)です。
BMIは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)から計算されます。

基準値は18.5-25.0です。
BMIのベストな数字は22です。25.0以上は肥満となります。
BMI 22という数字は
統計的に、病気のかかる確率が最も低いことから設定された数字です。

食事療法、運動療法を行っても血糖コントロールが難しいときに
補助的に、内服治療、インスリン治療となります。

食生活を見直してみましょう。
長年慣れ親しんだ食生活を変えることは大変です。
また食事療法をすることになると
多くの人が食べる楽しみがなくなったと思うようです。

しかし食事療法は、むやみに制限するものではありません。
そのポイントは、食べる量、内容、食べる時間、食べ方です。

間違った食生活を見直すポイント

  • 朝食を抜くことが多い。
  • 食べるスピードが早い。
  • 食事は満腹にならないと気がすまない。
  • 野菜はあまり好きでない。
  • 魚より肉など脂っこい料理を食べることが多い。
  • 味付けが濃くないと食べた気がしない。
  • 食べ物の好き嫌いが激しい。
  • 時間があると何か食べてしまう。
  • 甘いものが大好き。デザートは別腹。
  • お茶よりジュースをよく飲む。
  • 外食、インスタント食品が多い。
  • 22時以降に夕食や夜食を食べることが多い。
  • 夜は毎日お酒を飲み、一緒に夕食を済ませることが多い。
  • 仕事の付き合いで飲む機会が多く、お酒はとことん飲む。

これらを見直し、ひとつひとつ改善していくことです。

食事療法のキーポイント

1日3食、腹8分目に3食、同じぐらいの量を、きまった時間に食べることが大切です

こうすることで、食事による血糖の変動を小さく抑え
本来のインスリン分泌のパターンにあわせることができます。
最近の研究で、血糖値の変動が大きい人ほど
動脈硬化悪化のリスクが高いことが分かってきています。

食事の満足感を高めるためには、
ゆっくりと、よくかんで食べること
です。
食事を開始して、脳の満腹中枢が満腹感を感じるまでには、少し時間がかかります。
早食いをすると、満腹感を感じる前に食べ終わってしまうので
物足りなさを感じるのです。
ゆっくり時間をかけて食べたほうが満足感を得られます。

食物繊維をたっぷりとることが大切です

厚生省が提唱する健康づくりの指標、『健康日本21』でも
野菜を一日350g摂ることを勧めています。

その利点として、食物繊維には
食事で摂ったブドウ糖の吸収をゆっくりさせて
食後の血糖値の急上昇を抑える働きがあります。
その他には、総エネルギー量を増やさずに
満腹感が得られます。
よくかむ必要があり、早食いや過食を防げることが
あげられます。

食物繊維の多い食品は、野菜、豆類、海藻類、きのこ類に多く含まれています。
これらの食材はエネルギー量がごくわずかなので量を気にせず食べてください。

食物繊維の多い果物は、甘いだけに糖分(果糖)も豊富に含まれていています。
食べるなら一日摂取量は自分の握りこぶし以下の量にしましょう。

脂質の摂りすぎに注意しましょう

脂質には肉やバターなどの乳製品に含まれる
動物性脂肪と、食用油などの植物性油脂があります。
動物性脂肪には
動脈硬化を進行させる悪玉(LDL)コレステロールが
多く含まれ摂り過ぎには注意が必要です。

一方積極的に摂りたいのは、不飽和脂肪酸という脂肪です。
オリーブ油、紅花油、大豆などの植物性油脂に含まれる
オレイン酸、リノール酸、リノレン酸のほか
いわし、さば、さんま、あじなどの青背魚に含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)や
ドコサヘキサエン酸(DHA)です。

不飽和脂肪酸には悪玉コレステロールや中性脂肪を減らし
血栓を防ぐ働きがあります。
インスリン抵抗性を改善し、血糖を下げる働きもあります。
しかし摂り過ぎは良くありません。

低脂肪クッキングのポイントです

炒めものは少ない油で素早く火を通します。
炒める前に、肉は一度湯をくぐらせ油抜きをしておきます。
樹脂加工のフライパンを使うことで油をひかなくてすみます。

揚げるより、蒸したり、ゆでたりすることで
脂肪を落とすことができます。
揚げ物の衣はできるだけ薄くし、油を吸わないようにします。
網焼きで脂肪を落とすことができます。

肉の脂身、鶏肉の皮は脂肪分が多いので残します。
牛肉、豚肉ではヒレや赤身、鳥ではささみというように
脂肪の少ない部分を選します。

味付けの工夫をしましょう

濃い味付け、塩分の摂り過ぎは、ご飯がすすみ
食べ過ぎのもとになります。
塩分は高血圧の原因となり、高血圧も糖尿病と同様
脳梗塞、心筋梗塞などの動脈硬化の原因となります。
一日10g未満を目標にしてください。

薄味を楽しむテクニックとしては
昆布やかつお節、干しシイタケなどで
だしを濃い目にとることで
薄味でもしっかりと味を感じることができます。

香辛料(こしょう、カレー粉)や香味野菜(ねぎ、しょうが、にんにく)で味に変化をもたせ
味付けが単調にならないようにできます。
酢や天然の酸味(レモン、ゆず)で味を引き締めます。
減塩の調味料を使います。

間食、夜食の習慣をやめる

お菓子や清涼飲料水に含まれている砂糖には
大量のブドウ糖が含まれており血糖を急上昇させます。
その結果、インスリンが大量に必要になり
すい臓に負担をかけます。

なるべく食べないほうがいいですが
おやつにはストレス解消の効果もあり
どうしても食べたいときは
一日の摂取エネルギーの制限内としましょう。

果物はお菓子に比べると、ビタミン、ミネラル、食物繊維が取れるのでお勧めですが
果物に含まれる果糖も血糖値を上昇させます。
食べすぎは良くありません。

夜に食べると、その後の活動量が少ないため、脂肪がたまりやすくなります。
朝から昼ぐらいに食べましょう。

飲酒はお勧めできません

酔うことで、インスリン分泌が促され、空腹を感じ
食事制限を守れず
ついつい食べすぎ、飲みすぎてしまいます。

アルコールには血糖、血圧、中性脂肪をあげる作用があり
日本酒1日3合以上飲むと、脳出血、くも膜下出血などを
起こしやすくなります。
またお酒には、カロリーはありますが
栄養成分はほとんど含まれていません。
空腹時にアルコール摂取をすると、低血糖の原因になります。

飲酒の適量としては
ビールであれば633ml(中ビン一本)まで
日本酒であれば180ml(1合)まで
焼酎であれば110ml(0.6合)まで
ワインであれば240ml(グラス3杯)までです。

具体的に
『お酒は週3回、1回に焼酎のお湯割りをコップ一杯』
というように決めましょう。

たばこ

タバコは糖尿病の発症に関連するといわれ
動脈硬化の原因となります。
タバコの一酸化炭素、ニコチンによって動脈硬化が進みます。
タバコはやめるのが賢明です。

運動療法とは?

運動の長期的な効果としては
体脂肪が減り肥満が解消されます。

筋肉量が増えることで基礎代謝が増え
太りにくい体質になります。
また臓器や筋肉のインスリン感受性が高まることで
細胞がインスリンを受け入れ、糖を取り込めるようになり
(インスリン抵抗性が改善)
血糖値が下がるのです。

しかしハードな運動が効果的なわけではありません。

運動による消費エネルギーは多くありません。
たとえば200kcal(軽めのご飯一杯)を運動で消費するためには
水泳約17分間必要です。
ですから運動のみで食べ過ぎたカロリーを消費するのは非常に大変です。
食事療法と組み合わせて、適度な強度の運動を続けていくことが大切です。

血糖値を下げるには呼吸をしながら行う有酸素運動
(ウォーキング、水泳、サイクリング)が適しています。
有酸素運動を行うとブドウ糖と脂肪の両方を消費できます。

一番はウォーキングがお勧めです。
1日1万歩を目標になるべく歩く機会を増やしましょう。

ウォーキングを行う前には必ず準備運動を行ってください。
いきなり運動を始めると、関節や筋肉を傷める原因となってしまいます。
ストレッチ、体操を行い、筋肉や、腱を伸ばしてから運動を始めると、 けがの防止になります。

運動は血糖が上がり始める、食後1~2時間が効果的です。
この時間に運動を行うと
血液中のブドウ糖を消費し血糖の上昇を抑えることができます。
実際には食後の運動は時間が取れず、難しいことが多いと思われます。
もっとも大切なのは運動を続けることです。
無理をせず、できる時間帯でいいでしょう。

運動により、まず血液中のブドウ糖が使われます。
続けて運動していると、次に血液中の脂肪がエネルギーとして使われます。
そして血液中の脂肪が使われてしまうと、 全身に蓄えられた脂肪(体脂肪)が使われます。
『体脂肪が燃えるまで30分』といわれるのはこのことです。
ですから、一回の運動は30分以上続けると良いでしょう。

運動の強度の目安は、脈拍数で割り出します。
50歳未満の方は、脈拍数が100~120拍以内
50歳以上の方は脈拍数が100拍以内がよいとされています。
ちょっときついかなと感じる程度でとどめておきましょう。

週に3日行うことで十分効果が得られます。

薬物療法

糖尿病の治療の基本は食事療法、運動療法ですが
それだけで血糖コントロールが難しい場合は
薬を使用します。
薬でインスリンの働きを助け、血糖値を下げ
合併症の予防をすることが目的です。

内服薬は大きく3つに分けられます。

糖尿病治療の内服薬

  • 肝臓、筋肉、脂肪組織に作用してインスリンが作用しやすくするインスリン抵抗改善薬。
  • すい臓に働きインスリンの分泌を促すインスリン分泌促進薬。
  • 小腸に働き吸収を遅らせ、急に血糖が上がらないようにする食後血糖改善薬。

このほかにも糖尿病の薬は新しい薬がどんどん開発されています。

当院では、年齢、肥満度(BMI)、血糖値の上がり方、他の病気の有無などを考えて
患者さんにあった薬を選択し処方していきます。

インスリン分泌が少なく、合併症の危険性が高い時は
飲み薬だけではなくインスリン注射を選択します。

インスリンにもいろいろ種類があります。
すい臓からのインスリン分泌は
食事に関係なく一定量を分泌する基礎分泌、食後の血糖上昇に応じて分泌する追加分泌があります。
糖尿病では最初に追加分泌が低下し、病気が進行すると基礎分泌も低下していきます。

追加分泌を補う、速攻型インスリン
基礎分泌を補う、持効型インスリン
両方を補う、混合型インスリンなどです。

インスリンの保存は常温保存です。

インスリン治療を行っている人は
自己血糖測定器で血糖値を自己測定します。

空腹時血糖
160mg/dl以上 不可 130~160mg/dl 可 110~130mg/dl 良 80~110mg/dl  優
食後2時間血糖
220mg/dl以上 不可 180~220mg/dl 可 140~180mg/dl 良 80~140mg/dl  優

血糖値を自分ではかり、記録することで、治療効果を確認できます。

インスリンに対しては、悲観的に感じる方も多いと思いますが、心配はありません。
むしろ内服治療ではコントロール困難な高血糖をほったらかしにすることのほうが
合併症の出現の観点から恐ろしいことなのです。

糖尿病の薬は一生続けなければならないと思っている人が多いですが
飲み薬、インスリンも、血糖コントロールが安定してくれば減らしていくことができます。

まとめ

糖尿病は自己管理が重要です。
自分が主治医になるという気持ちを持つことが大切です。

治療経過中、食事療法、運動療法がうまくいかず
ストレスを感じ、投げ出したくなることもあるでしょう。

しかし失敗しても何度もチャレンジすればいいのです。
私たちと一緒に、ストレスを感じることなく、治療に取り組みましょう。


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